焼肉の大同門 社長ブログ

6年前から大阪の老舗焼肉チェーン「大同門」の社長をしています。その前は、IT企業の専務>別のIT会社の起業>同時通訳者>大阪府知事通訳。畑違いでも経営という点では共通します。経営や起業、プライベートも含めて書いてます。

子離れできない父親と親離れした娘(大塚家具編)

TVワイドショーでも大きく取り上げられたり、いろいろな人がブログで分析している

大塚家具の今回の騒動ですが、私は親子の上下関係の権力闘争とみています。

大塚家具は創業者である大塚勝久氏が一代で築き上げた家具販売チェーンです。

一代でそれなりの企業を作り上げる創業者パワーというのは凄まじいものです。

そしてその創業者パワーは、家庭においては、家長として発揮されるわけです。

これって、家族のことを大事にするとかとはまた別の次元なんですね。

家長は、家族も支配しているので、自分の奥さんも子供も全部自分の所有物です。

所有物は大事にしますよね。愛してないわけではないのですが、対等の人間への

愛ではなく、所有物への愛に近いんじゃないかと思います。

子離れということは、子供を一人の独立した人間とみれるようになることです。

普通子離れできない親というと、子供に依存してしまって自立させてあげれないということに

なるのですが、家長の場合に、所有者-被所有者の関係が非常に都合がよいので、

そこから離したくないという要素が大きくて子離れできないのではないかと思います。

子供のためにやってきたということ、例えば、よい教育を提供してやった、よい婿を

探してやった、わしがやらなければ、娘は何もできなかったはずだという視点を家長は

もっていて、一瞬はよい父親のように見えますし、間違いなく娘さんのためにはしてきたのですが、これが、娘が親離れして、自分のいうことを聞かなくなった瞬間に「自分がこれだけやってきたのにお前はなんだ」にがらりと変わります。

娘は親離れして、自分の意志も考え方もある。父親は、娘が自分の家長の地位を尊重してその枠内で行動している限りだけ、娘のことを認めます。

娘が、自分の家長の地位を脅かしている、自分は下手したらサイドラインに行かされるという恐怖を覚えたときに、父親は自分の家長としての地位を脅かす敵としてしか

娘を見れなくなってしまうのだと思います。

娘は、大変です。心の中では父親のことを愛していますが、

あまりの罵詈雑言を父親から浴びせられると、娘はだんだん親への尊敬を亡くしていきます。

そして、もっと「自己主張」しはじめるのです。

その態度をみて、また父親は、「娘とは父親を大事にして尊敬しなければならないのに、なんたることだ。育て方を間違った。ダメな子を作ってしまった。」とか、言い出すわけです。

今回の騒動の根源には、子供が育つ過程において、老いていく親と成熟していく子供の間の関係性がいつかは逆転していくときの葛藤にあるんじゃないかと思います。

この葛藤がビジネス承継と組み合わさると、力関係に円マークがつくので、さらに

大変な争いになってしまうこと必須で、今回の大塚家具は上場企業なのでここまで

ニュース沙汰になっているものの、実はよくあることかと。

久美子社長は他人と思えません。私にも同じような経験があります。

娘だからこそ意固地になることもあります。結末がどうなろうが、社員の方々を

大事にしていく心があるほうに勝ってほしいです。

梅田のマクドナルドが閉店!?信頼裏切りのしっぺ返し

昨日の会議で、梅田の阪急駅高架のところにある

マクドナルドが閉店するらしいという話を聞きました。

工事が入るのらしいですが、他の多くの店はいったん別の場所に移転して

また戻ってくるのですが、マクドナルドは閉店だそうです。

ここのマクドナルドというと、その昔、全国でも一番売っているといわれた

場所で、ひっきりなしにお客様が訪れていました。

聞くと、今では閑散としているらしいです。

やはり、一連の事件でのお客様の信頼をなくしたことが原因でしょう。

それにしても信頼というものは、目に見えぬ通貨になったような気がします。

目には見えないが、お客様から頂戴しているものです。

目には見えないのにこれを失うと、大きな損失につながる。

どのような商売でも、もはやお客様からの信頼が一番大切。

信頼の通貨を増やしていけるように頑張ります。

2015年年初にあたり

明けましておめでとうございます。

私の現在経営している会社グループ内で昨年12月27日に

40数年間の勤務の最終出社日をお迎えになられた方がいらっしゃいました。

たしか昨年で76歳。

定年後も、そのまま勤務をお願いしてましたが、ここ数年は週に3日の出社でした。

今回ご本人の希望で、完全に退職されることとなりました。

父の創業した会社グループの生き字引であり、

また精神的にも非常に支えていただきました。

現在社会では、ひとつの会社に長くいるということのほうが

だんだんマイナーになってきています。

日本の終身雇用=滅私奉公時代が終わりつつあり、それはそれで健全だと思います。

しかしながら、別の意味で、自由に安心して長く働けるような会社、辞めたくない会社を作ることが

経営者にはますます求められているのではないかと思います。

2015年、とにかく良い会社を作るために、もう一度頑張ります。

2014年を振り返り

今年は自分の甘さについて思い知らされた年でした。

人間性とはこんなに低くなるのかと。いつも人間については信じていたいという

性善説だったのですが、初めてそうでもないかと思いました。

人助けの思いで、引き受けた人たちが

こちらを踏み台として思っているとしか思えない行動をして

そのおかげで他の人たちに大変な傷が生まれてしまいました。

アサヒビールによる「なだ万」買収は成功するのか

創業184年の老舗料亭「なだ万」がその株式の51.1%を12月にアサヒビールに売却されるそうです。

他人事じゃないなぁと思いながらYahooニュースの記事を読みました。

8年ほど前になりますが、私の父が創業者である焼肉の「大同門」にも同じことが起りました。

大同門は今年で創業46年の老舗焼肉チェーンです。日本初の焼肉チェーンでもあります。

大阪での知名度は非常に高く、いっときはミスタードーナツについで、大阪での知名度2位という時代もあったそうです。

それが8年前に、民事再生を申請、あるところに買収されました。買収先から社長や役員が送られ、経営権はそちらにうつりました。

自分の親たちが長い年数を使って作り上げてきたブランド、ともに育ってきたブランドが、他人に渡るのを見るのは本当に辛かったです。

今回、なだ万のケースも同じで、現経営者は残るものの実際の経営権はアサヒビールにうつるようですね。

アサヒビールさんが、どのように老舗料亭をターンアラウンドできるのか。

正直言って、外食ビジネスは難しい!

とくに老舗だと余計に難しい。

老舗のノウハウは、マニュアルに書かれてないです。ノウハウは実はそこにいる人たちそのものです。

もしアサヒビールからなだ万に派遣される人が、数字とパソコンで資料を作ることが仕事の人たちであれば、

かなり苦労するんじゃないかと思います。

新しい経営者や幹部社員がどれだけ腕をまくって火中の栗を拾おうとするのかが肝でしょうね。

 

うちを買収した先は外食を専門としているところではなかったので、飲食店の経営には苦労したようです。

それもあって運よく3年弱前に手元に戻すことができました。本当に、不幸中の幸い。。

老舗ブランドが大手企業に呑み込まれることは、これは経営判断のひとつにしかすぎません。

しかし、それを活かすも殺すも、これは経営手腕。

せっかく手元に戻った大同門という老舗ブランドを、紆余曲折あったけど残った社員、

戻ってきてくれた社員、そして復活をサポートしてくれるスタッフと一緒に復活させることが

私の使命です。この「なだ万」の記事は、そんな中で、新たに自分の決意を固くさせるものでした。

マネジャーに必要なのは危機感

最近とみに思うのが、マネジャーに必要なのは危機感をもっていて

それに対して適切なアクションがとれるかではないかということです。

例えば飲食店の店長を例にとると、

業績が悪くなると、その店の存在まで危うくなり、つまりは自分の職まで

失うのに、その危機感がないため、

毎日同じことを同じようにやって、結局何も変わらず1日が過ぎるというパターンです。

売上あがらなかったといって嘆いてみても、

その後何もアクションとらないのであれば、本当の危機感があるとはいえません。

人間尻に火がつくと、とにかく何でもやっていこうとするものですが、

危機感がない人は、本当は尻に火はついているはずなのに、

熱さを感じないので、ゆっくりと座っているタイプです。

トップが危機感ないのが一番危険ですが、中間層マネジャーが危機感ないのは

組織が動かなくなるので、ある意味、もっと危険かもしれません。

危機感もって、前もって手をうっていける、そんなマネジャーをどう育てていけるか。

それができればとても強い組織が作れるような気がします。

木曽路の松坂牛偽装に思うこと

しゃぶしゃぶレストランチェーンの木曽路が松阪牛と偽って無銘柄牛を提供していた

というニュースが世間をにぎわして、また「偽装!?」という感じになってます。

3店舗の料理長が、利益を出すためにやったという話をしているそうですが、

これって、結構あり得る話です。レストランでは、原価率は大事なKPIです。

多分、原価率を守ることが、料理長の評価に反映されてたんでしょう。

現在、牛肉の仕入れ値段がとっても高騰しているので、

苦肉の策として、料理長がやっちゃたんじゃないでしょうか。

 

「やってはいけないこと」と「やってもいいこと」との区別がつかなくなるって

恐ろしいことですが、結構いろいろなところで起こっているんですよね。

会社の売上上げるために、水増し要求しちゃったとか、架空の売上作ったとか、

上場企業で社長が横領したとか、みんな冷静に考えると「やってはいけないこと」なのにやってしまっているんですよね。

 

木曽路の店長たちも、目の前の短絡的な利益を見るのではなく、

今回の偽装がお客様に嘘をついていることであり、

またそれが発見されたら「信用」という、

得るには時間がかかり、失ったら取り戻すのが本当に大変なものを

犠牲にすることになるのだと思えていたら、

今回このようなことにはならなかっただろうと思います。

忙しいという漢字は”心を亡くす”と書きますが、数値に追われて忙しいと、まさに心を亡くす状態になりがちです。そんなときは、一歩ひいて、物事の本質から「解」を求められるようにしたいものです。