子離れできない父親と親離れした娘(大塚家具編)
TVワイドショーでも大きく取り上げられたり、いろいろな人がブログで分析している
大塚家具の今回の騒動ですが、私は親子の上下関係の権力闘争とみています。
大塚家具は創業者である大塚勝久氏が一代で築き上げた家具販売チェーンです。
一代でそれなりの企業を作り上げる創業者パワーというのは凄まじいものです。
そしてその創業者パワーは、家庭においては、家長として発揮されるわけです。
これって、家族のことを大事にするとかとはまた別の次元なんですね。
家長は、家族も支配しているので、自分の奥さんも子供も全部自分の所有物です。
所有物は大事にしますよね。愛してないわけではないのですが、対等の人間への
愛ではなく、所有物への愛に近いんじゃないかと思います。
子離れということは、子供を一人の独立した人間とみれるようになることです。
普通子離れできない親というと、子供に依存してしまって自立させてあげれないということに
なるのですが、家長の場合に、所有者-被所有者の関係が非常に都合がよいので、
そこから離したくないという要素が大きくて子離れできないのではないかと思います。
子供のためにやってきたということ、例えば、よい教育を提供してやった、よい婿を
探してやった、わしがやらなければ、娘は何もできなかったはずだという視点を家長は
もっていて、一瞬はよい父親のように見えますし、間違いなく娘さんのためにはしてきたのですが、これが、娘が親離れして、自分のいうことを聞かなくなった瞬間に「自分がこれだけやってきたのにお前はなんだ」にがらりと変わります。
娘は親離れして、自分の意志も考え方もある。父親は、娘が自分の家長の地位を尊重してその枠内で行動している限りだけ、娘のことを認めます。
娘が、自分の家長の地位を脅かしている、自分は下手したらサイドラインに行かされるという恐怖を覚えたときに、父親は自分の家長としての地位を脅かす敵としてしか
娘を見れなくなってしまうのだと思います。
娘は、大変です。心の中では父親のことを愛していますが、
あまりの罵詈雑言を父親から浴びせられると、娘はだんだん親への尊敬を亡くしていきます。
そして、もっと「自己主張」しはじめるのです。
その態度をみて、また父親は、「娘とは父親を大事にして尊敬しなければならないのに、なんたることだ。育て方を間違った。ダメな子を作ってしまった。」とか、言い出すわけです。
今回の騒動の根源には、子供が育つ過程において、老いていく親と成熟していく子供の間の関係性がいつかは逆転していくときの葛藤にあるんじゃないかと思います。
この葛藤がビジネス承継と組み合わさると、力関係に円マークがつくので、さらに
大変な争いになってしまうこと必須で、今回の大塚家具は上場企業なのでここまで
ニュース沙汰になっているものの、実はよくあることかと。
久美子社長は他人と思えません。私にも同じような経験があります。
娘だからこそ意固地になることもあります。結末がどうなろうが、社員の方々を
大事にしていく心があるほうに勝ってほしいです。